FARE Urushi Products | 現代的な漆のアクセサリー

2021/11/10 09:22

リサイクルショップ好きな私たち夫婦。先日近所のリサイクルショップで雰囲気のいい大皿を数百円で手に入れました。


その日の晩、早速食卓に登場して「これは良い買い物したね〜」なんて話していたのですが、その後食器を洗うときに誤って割ってしまって。手が滑るとはこのことかってくらいにツルンとなって、パリンでした。縁のところが割と複雑に割れて欠けてしまったのです。

皆さんはそんなとき、そのお皿をどうしますか?

私たちは、漆で「継ぐ」という選択をしました。


昨今の「金継ぎ」ブームで知ってる方、やったことある方も多いと思いますが、漆を使って割れたお皿をつないで繕う技法。現代的なお皿に用いることは好きではないのですが、渋くて味のある今回の大皿にはぴったりかなと。


しかし、困ったことに金継ぎに使用する純金粉がここ1年かそれ以上か、ずっと売り切れの状態なのです。漆の蒔絵で使用する金粉にも色々な種類があるのですが、その中でも金継ぎに使われやすい丸粉という種類の粒の小さめの号数の粉たちが、どのお店を見ても総じて在庫切れ。

なぜだろう、と思って昨年の段階でお世話になっている京都の漆用品店に問い合わせたところ、コロナの影響で生産ができていないとのことでした。詳しくは分からないのですが、コロナの影響は漆業界にも影を落としていたのですね。

少し話は横道に逸れますが、その影響で私たちの商品の中で追加製作できなくなっているものもあるのです。きっと同じように困っている同業の方は多いと思います。早くこの丸粉品薄問題が解決するといいのですが。。


というわけで本題に戻りますと、金継ぎで使う金粉が手に入らないため、わが家のお皿は銀粉を使用して仕上げました。金継ぎというと「金を使うものでしょ?」と思いがちですが、銀をはじめ錫や真鍮なども使われることがあります。

もちろん、金はやっぱり唯一無二でその輝きに勝るものはないと思うのですが、銀も落ち着いた輝きを放っていて好きです。仕上がってみれば、むしろわが家には銀継ぎの味わいの方が合っているのかもしれないな、と思うくらい。


茶道の世界では、器の継いだ箇所のことを「景色」と言うらしいです。割れた跡をその器の個性として慈しむ、素敵な表現だなと感じます。

リサクルショップで買った数百円の大皿も、素敵な景色を背負ってわが家の食卓に戻ってきました。